パナソニック 完全子会社化の意味 第6弾
親子上場銘柄の注目度ががぜん高まってきた。29日、パナソニック <6752> が上場子会社の三洋電機 <6764> 、パナソニック電工 <6991> を完全子会社化する目的で、TOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。他の大手上場会社に対して刺激となりそうだ。
上場会社が経営支配権を握ったまま子会社を上場させる「親子上場」にはかねてから、日本特有の経営慣行で合理性に欠けるとの声が特に外国人投資家の間に根強い。大和総研が09年10月28日付リポートで指摘するように、子会社には独自の資金調達力や知名度の獲得、従業員のモチベーション向上が、親会社には株式売却による資金の獲得、グループ管理コストの低減、上場会社役員ポストの確保などのメリットがあるものの、グループ利益が少数株主利益の形で外部流出する点が批判の的となっている。
やや古い数字だが、東証が09年1月公表した『上場会社コーポレート・ガバナンス白書』によると、東証上場会社のうち親会社を有する会社は12.6%。そのうち85.7%は親会社が上場会社。10社に1社強が親子上場会社という計算になる。
親子上場がここにきて再び注目されてきた理由としては、株価下落を背景に現金による子会社株式の取得をしやすい環境にある点が大きい。足元の国内景気の足踏みに起因する投資機会の不足により、上場会社の多くが資金面で比較的余裕ある状況に置かれていることも見逃せない。
親子上場廃止とまでいくかどうかは別として、大手企業がグループ企業に対する資本政策を見直す好機が到来している。与党・民主党が親子上場の常態化の解消に強い関心を持っており、今後、法制化に向けた動きが出てくる可能性があることも追い風になるだろう。(由谷 順)
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