パナソニック、環境エネに集中
「交代はベストのタイミングだった」。大坪文雄社長は28日の会見で、一部で指摘される引責辞任を強く否定した。
主力のテレビ事業は、韓国勢の台頭や円高で急激に採算が悪化。巨額投資を続けてきた成長戦略が裏目に出て、テレビ用パネル生産を一部停止するなどリストラ費用がかさみ、12年3月期は過去最悪の7800億円の連結最終赤字に転落する見込みだ。
今後はテレビ事業を縮小する一方、成長が期待される海外での白物家電、車載用電池といった環境エネルギー事業を強化し、収益力の早期回復を目指す。
さらに今年1月に事業統合した三洋電機、パナソニック電工の商材も生かし、工場や店舗に空調や照明、太陽電池を一括して提案する「まるごと事業」に活路を見いだす考えだ。
だが、V字回復を果たした中村邦夫会長の社長時代とは違い、家電業界を取り巻く経営環境は格段に厳しい。超円高の定着や、欧州債務危機に伴い欧米市場は低迷、韓国勢との競争が激しさを増す。頼みの「まるごと事業」も「収益への貢献は時間を要する」(証券アナリスト)とみられる。
「“復活”のためには人が最大の財産になる」。次期社長に決まった津賀一宏専務はV字回復に強い意欲を示した。だが、新経営陣はスタートから難しいかじ取りを迫られる。
bySankei Biz