水はじく砂で砂漠緑化…パナソニック・京大開発
炊飯器の内釜は、こげや汚れがこびりつかないよう、撥水はっすい性物質でコーティングしている。これをヒントに、砂粒の表面を数ナノ・メートル(ナノは10億分の1)の厚さの撥水性物質で均等に包むことで、砂の層(約5センチ)にはじかれた水が染みこまず、浮き上がる仕組みを開発した。一方、植物の生育に必要な通気性は確保できるという。
10年4月から共同研究を始め、京都大は農業技術や実証実験などを担当した。パナソニック先端技術研究所(京都府)にある農場(約50平方メートル)で昨年実験した結果、トウモロコシ畑などに染みこんだ雨は水をはじく砂の層(深さ40センチ)を流れてタンクに集まり、約70%を再利用できた。
また、地下の塩分を含む水を遮断し、塩害を予防する効果も確認できた。
これまで砂漠緑化のために保水性の高いシートを地中に埋めるなどの取り組みはあったが、通気性が悪かったり、塩水も通したりする欠点があった。新技術はこれを一挙に解決した。
撥水砂を月300トン製造できる装置の開発にも成功した。現地にある普通の砂を加工できるため、1トン当たり数千円以下で供給できる見通しで、実用化にめどをつけた。
農業関連のノウハウが豊富な商社などと手を組み、アフリカや中東、中央アジアなど、農作物の栽培が難しい乾燥地域で農園の造成サービスなどの事業展開を目指す。
(2013年7月18日 読売新聞)