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2013年 10月 06日 ( 1 )

住宅の見えないところにもパナソニック
f0222687_17441074.jpg自動車関連事業と並んでパナソニックが力を注ぐ「住宅関連事業」を担うのが、ES社だ。

今年6月にパナソニックES社社長に就任した吉岡民夫氏は、こう切り出す。

「テレビをはじめとするデジタル事業とは対極にあるのがES社のビジネスモデル。パナソニックが長い年月をかけてつくり上げた技術と製品、強い販売網を生かして、パナソニックグループの成長を牽引していく」

ES社は、照明などを担当する「ライティング」、ソーラーシステムなどを取り扱う「エナジーシステム」、水回りや内装などの事業を行う「ハウジングシステム」、空気清浄機や換気扇といった製品を担当する「パナソニックエコシステムズ株式会社」の4つで構成されている。さらに、アプライアンス社の省エネ設備や店舗向けショーケース、AVCネットワークス社のドアホンやセキュリティカメラなどの商品群も、ES社が持つ電材、住建ルートを通じて販売する役割を担う。

今回のパナソニックの中期経営計画では、すべての事業で営業利益率5%以上を目標にするが、ES社では他のカンパニーから調達して販売している商品を除くと、すでに5.6%の営業利益率を達成し、すべての事業が黒字化するなど、パナソニックの中では優等生的な存在だ。

そして、パナソニックの創業商品である“配線器具”は、ES社の担当である。

「創業時の1918年から販売しているアタッチメントプラグは、今でも月間5000個を販売している」(吉岡社長)

住宅関連事業の現在の事業規模は約1兆1000億円で、これを18年度には約2倍の2兆円に拡大する計画だ。住宅関連事業の中で、現在のES社が占める事業規模は約8000億円で、18年度には1兆5000億円を担う予定だ。

住宅関連事業の特徴は、長期的視点で事業を推進する点にある。この対極とされるテレビ事業は、買い替えサイクルも約7年と短いうえに、技術革新のスピードも速く、工場設備の増強なども一気に展開する必要がある。このサイクルの中で戦った“テレビ事業の失敗”が今回のパナソニックの業績悪化を招いたのは、津賀社長も認めている。

住宅設備は10~20年、住宅そのものは、30年以上と、「寿命の長いビジネス」で、パナソニックが独自に築き上げた“長年培ったビジネスの経験”が生かされる領域である。パナソニックが電材や住設機器で、実績を積み上げてきたことが“大きな強み”となる。

ES社は、国内事業の強化、アジア、中国、インドでの海外事業拡大を柱とする「基盤事業」と、「エナジーマネジメントシステム(EMS)事業における付加価値拡大」「エンジニアリング・サービス事業へのシフト強化」「リフォーム事業の強化」の3点で構成する「成長事業」に取り組む。成長事業の売り上げ構成比は12年度実績でES社全体の40%を占めるが、15年度には、50%に引き上げる計画だ。

「『創エネ、蓄エネ、省エネ』(エネルギーの創出、エネルギーの蓄積、エネルギーの効率的な利用)は、パナソニックが得意とするところ。さらに、分電盤、配線器具、HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)などの『配エネ』分野も得意とする領域だ。住宅関連事業の成長の鍵はエネマネにあり、それを軸にして電気に関するトータル提案を行える」(吉岡社長)

こうして見ると、住宅内のパナソニックの“商品”は、冷蔵庫や洗濯機、エアコン、テレビといった“家電商品オンリー”という見方は、間違いである。普段は見えない「住宅内の裏の部分」にもパナソニックの商品や技術が数多く採用されており、実はこの見えない部分で「高い占有率と高い利益」を生み出しているのだ。

一方、今後力を入れると断言する「リフォーム事業」は、商品力の強化に加えて、販路をいかに拡大するかが重要だ。

具体的には、リフォーム専門店の「リファインショップ」を現在の274店から、15年度には500店に拡大する。工務店や燃料店、設備店などで構成される「わが家見なおし隊」を現在の1770店から15年度には2500店へと拡大。現在、948店の家電店で構成される「ネットワーク&エコハウス」も活用することで、パナソニックグループ一丸となって、リフォーム事業に取り組む。

ES社マーケティング本部住建営業統括部長の太田勉専務は、こういう。

「リフォーム需要は今後も拡大し続ける。住建営業本部で取り扱っている水回り、建材商品のリフォーム売上高比率は、現在31%。これを15年度には50%にまで引き上げたい」

さらに6月から「20歳のリフォーム」キャンペーンをスタートさせた。築20年を経過した住宅が水回りを含めた住まい全体を見直す時期に入る。太田専務は、「リフォームすることで、快適性、省エネ性などの観点から、住居内のマイナスをプラスにする提案をしていきたい」と、意気込む。

住宅事業拡大の一翼担うパナホーム
住宅関連事業でもう1つの柱を担うのが、住宅メーカーの「パナホーム」だ。

ES社が、工務店ルートなどで住宅関連事業を展開するのに対して、パナホームは、直販型で住宅関連事業を拡大しているのが特徴だ。パナホームの12年度の売上高は2894億円で、18年度には5000億円に引き上げる。

主軸となる新築請負事業は、2152億円から2500億円へと16%増の成長を見込む一方、スマートシティなどの街づくり事業は約2.8倍の1000億円、不動産流通やマンション管理といったストック事業では約2.6倍の1000億円、マレーシアや台湾を中心とした海外事業は、100倍となる500億円へと拡大させる。

そうした中、18年度の売上高で半分を占める新築請負事業でポイントとなるのが、新しく打ち出した「首都圏攻略」戦略だ。新築着工件数は、14年度以降には減少傾向に転じると予測される中で、人口が増加し続ける首都圏を対象に「3~5階建ての建物」という、パナホームならではの提案を行っていく考えだ。

「4階建て以上の新築物件ではトップを争う実績を持つ。多層階の専門営業チームを設置し、容積率および建ぺい率が高い、狭小地の多い地区に対して重点営業を行っていく」

と、パナホームの藤井康照社長は語る。パナホームは今年4月に、日本各地から実績のある営業マンを集め、首都圏の営業担当者数を1.7倍に拡大したところだ。

f0222687_17513349.jpgパナホームのもう1つの戦略商品が、創業50周年記念商品の「カサート エコ・コルディス」で、藤井社長は、

「南向きの片流れ大屋根に、パナソニックのHIT太陽光発電パネルを敷き詰めて屋根を構成する、新たなデザインを採用した環境型住宅」
という。3月の中期経営計画発表時に、パナソニックの津賀社長が唯一会見場に持ち込んだのが、エコ・コルディスの模型で、この事例からもグループとして力を入れている商品の1つであることがわかる。4月の発売から3カ月で178棟を受注し、年間1000棟の販売に向けて、まずまずの滑り出しだ。

このエコ・コルディスは、パナソニックが取り組むスマートシティプロジェクト「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン(以下、Fujisawa SST)」の主力住宅のひとつにも採用される予定だ。

f0222687_17554093.jpgFujisawa SSTは、東京ドーム4個分にあたる約19ヘクタール(約6万坪)の敷地に、約1000戸の住宅と商業施設、公益施設が計画されている。総事業費は約600億円で、14年春の街開きを予定している。この街全体を管理するFujisawa SSTマネジメントの宮原智彦社長は、

「様々なビジネスパートナーと共同で展開するBtoBの事業モデルを実践する場がFujisawa SST 。さらに、パナソニックの環境商品の使い方を提案し、顧客に理解してもらう役割も担う」

と話す。

環境革新企業からエコ&スマートへ
これまで触れてきたように、パナソニックは、「自動車関連事業」「住宅関連事業」を、中期的な成長戦略に位置づける。言い換えれば、パナソニックの成長は、「BtoB」が担うことを意味する。

その一方、テレビ事業の赤字脱却を最優先の課題とするAVCネットワークス社でも、15年度の売上高1兆9800億円の計画のうち、BtoBで9700億円を計画する。“白物家電”を担当するアプライアンス社でも、15年度の売上高1兆6500億円のうち、4割強の7100億円をBtoBで構成している。さらに、アプライアンス社は、18年度、BtoBの比率を半分にまで引き上げ、利益のBtoB比率においては、全体の約6割に引き上げる考えだ。まさにパナソニックは全社を挙げて、BtoBへ舵を切ったといえる。

今年4月以降、津賀社長は、省エネ商品などBtoCのイメージが強く残る「環境革新企業」という言葉を使わなくなった。その代わりに、「エコ&スマート」という言葉を活用し、社会全体をビジネスのターゲットと捉え、BtoBを意識したイメージを大きく打ち出している。

「お客様からの逆算による成長戦略」

が、津賀社長が挑む中期経営計画の柱であるが、ここには、最終顧客だけでなく、「様々な産業のパートナーと一緒になって、お客様のいい暮らしを追求していく」というようにBtoBを基軸とする意味が込められている。

「様々なパートナーと“Engineering a Better World for you”(お客様1人ひとりの求める「より良い世界」の実現に貢献する)を実現する企業でありたい」

と津賀社長は言う。

プラズマテレビなどの投資で失敗し、赤字に陥ったパナソニックの現状を鑑みると、今後、パナソニックが、成長戦略の軸をBtoCではなく、BtoBに置くことは、しごく当然のことなのかもしれない。
                         byプレジデント
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by syojyu-hansin | 2013-10-06 09:38 | パナソニック | Trackback | Comments(0)