パナソニック、住宅・車シフト急ぐ プラズマ撤退発表
パナソニックの津賀一宏社長は31日の記者会見で「構造改革は道半ばだが、どの方向に改革していけばいいか見えてきた」と語った。
プラズマパネルの生産を12月でやめ、来年3月をめどにテレビやモニターなど関連製品の販売も終える。パネル生産を手掛ける尼崎工場(兵庫県尼崎市)は売却する方向で検討に入った。同社のテレビ事業は連結営業損益が13年4~9月期で256億円の赤字。通期でも赤字になる見通しで、プラズマ撤退で来期以降の収益改善を狙う。
同社が今期の構造改革費用を当初公表していた額より500億円上積みするのは上期に年金の制度変更に伴う利益を計上したほか、下期にヘルスケア子会社の投資ファンドへの売却で750億円の利益を生み出し、リストラの原資を確保できる見通しになったためだ。
パナソニックは19年3月期に自動車部品と住宅関連、家電を3本柱とし、それぞれ売上高を2兆円まで引き上げる計画。住宅関連ではトルコのヴィコを買収する。14年3月までに同社の発行済み株式の90%を現在の経営者らから取得。ヴィコの13年12月期の売上高は3.05億リラ(約150億円)程度の見通しだ。
パナソニックは同社が手薄な中東やアフリカなどでヴィコの販路やブランド力を活用し、「配線器具だけでなく照明や換気扇などのグローバル展開につなげる」(津賀社長)という。
ただ、これまで稼ぎ頭だった白物家電事業ではエアコン事業が不振で今期は営業赤字に転落する見通し。自動車部品関連もデンソーや独ボッシュなどの世界大手とは規模で圧倒的な差が開いている。津賀社長が「改革はヤマをまだ越えていない」と述べるように、プラズマと同様に赤字の液晶パネル事業などの抜本改革も手付かずで、経営立て直しへの取り組みは続く。
by日経