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by syojyu-hansin

パナソニック復調は本物か

 パナソニックに復調の兆しが出てきた。10月31日に2014年3月期の業績見通しを上方修正。就任2年目の津賀一宏社長が進めるプラズマテレビ、半導体など赤字部門のリストラと、住宅・自動車分野への事業シフトの効果が表れ始めた。このまま成長軌道に乗れるのか。行く手には新たな課題も浮上している。

■トップ営業実る
 9月、津賀社長の姿はパリにあった。訪問先は欧州最大の電力会社、仏電力公社(EDF)。「当社には配電盤など様々な技術がある。特別なパートナーにしてほしい」。こんな提案にEDFのプログリオ最高経営責任者(CEO)は「これまで特別なパートナーは求めなかったが、10年単位の長期ビジョンを共有できるなら」と応じた。

 津賀社長はドイツの家電見本市に参加する傍ら、自動車メーカーの独ダイムラー、英ジャガー・ランドローバーを相次ぎ訪問。カーナビやセンサー、バッテリーなどの技術を売り込んだ。今春以降、トップセールスに出向いた先は国内外の数十社にのぼる。

 今年3月末に発表した中期経営計画で津賀社長は家電から企業向けビジネスへ軸足を移すと宣言。とりわけ旧パナソニック電工が手がけていた住宅設備・電気設備などの「住宅」、カーナビなど運転席まわりから制御部品へ領域拡大を狙う「自動車」の両分野を「当社のDNAが生かせる主力事業」と位置づける。

 トップセールスの成果もあり、両分野の4~9月期の売上高は合計2兆2116億円と前年同期比6%増、営業利益は2倍の合計996億円。売上高、利益ともに全社の3分の2を占める。14年3月期の連結最終損益の見通しを1000億円の黒字(前期は7542億円の赤字)と従来予想の2倍に引き上げる原動力となった。

 津賀社長は49事業の中で特に抜本的な改革が必要な5分野を「課題事業」に分類。このうち赤字額が最大のプラズマテレビから14年3月末までに撤退する。次いで赤字が多い半導体でも1万4千人の人員を半減するリストラに着手した。構造改革は進みつつある。

■新モデル手探り
パナソニック復調は本物か_f0222687_1913304.jpg 16年3月期の目標は赤字事業の解消と、営業利益3500億円の達成。それでも利益水準はリーマン・ショック前(08年3月期に5194億円)の3分の2にすぎない。当時、利益の半分を稼いだAV(音響・映像)機器のような強い事業づくりが必要だ。

 10月31日、パナソニックはトルコの大手配線器具メーカー、ヴィコ(イスタンブール市)の買収で同社のオーナーと合意した。14年3月までに株式の9割を約460億円で取得する。手薄だった中東やアフリカに販路を確保。「配線器具だけでなく照明や換気扇などをグローバルに販売する」(津賀社長)

 住宅、自動車事業の売上高を19年3月期に合計4兆円と前期の約2倍に増やす高めの目標を掲げるパナソニック。実現にはM&A(合併・買収)や提携で一気に拡大するほかない。ヴィコの買収はその一歩だ。

 9月末には米投資ファンドのKKRにヘルスケア事業を約1500億円前後で売却することで合意。半導体でも工場売却でイスラエル企業と交渉している。成長分野での買収と非主力事業の売却で事業構造を見直し成長につなげる戦略だ。

 それでも成長回帰の道筋は明確ではない。今期、営業赤字になる「エアコン」、スマートフォンに侵食され赤字が続く「デジカメ」が新たに課題事業に加わった。M&Aでも、米映画・娯楽大手のMCA、松下通信工業、そして三洋電機など買収が収益に結び付かず多額の損失計上を迫られた例もある。あるOBは「自前主義に陥り、買収企業をうまく使いこなせなかった」と話す。

 過去最高益をうかがう日立製作所など電機各社のなかで出遅れ感のあるパナソニック。「山を越えるにはもう少しかかる」。津賀社長自身が改革の速度を上げる必要を感じている。
                by日経(平沢光彰、伊藤正泰)
by syojyu-hansin | 2013-11-20 19:14 | パナソニック